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熊本のあさり産地偽装はなぜ行われたのか?産地の決め方も解説


熊本県のあさり産地偽装が話題になっています。

toyokeizai.net

 

熊本県産と言われた「あさり」の多くが実は海外産だったというもの。

 

食品表示法では、海外から運ばれてきたものでも

国内で、一定期間以上の間、育てられれば国内産ということができます。

 

また、熊本県産のあさりは

値段が高いことも、事件が起こった要因とも思えます。

 

それぞれ解説していきます。

 

 

 

 

 

産地偽装の発覚

2022年1月22日のJNN報道特集」で

「アサリの産地偽装」が大々的に報じられました。

 

この放送で、日本に輸入された中国産のアサリが

「熊本産」として称して長く出回っていたことが

明らかになりました。

 

外国産のアサリが悪いということではありません。

 

食品表示法では、

「海外原産の水産物でも、

日本の海に運び入れて成育した期間(蓄養期間)が

原産国より長いものは国産と表示できる」となっています。

 

従って、

海外から輸入した1年物のアサリを、

熊本で1年以上育てれば

「熊本産」としても、何の問題もないのです。

 

ところが、

熊本では、国内での蓄養期間は1週間程度、

もしくは全くゼロのアサリを、

書類上は中国で育った期間よりも

有明海などの干潟で蓄養した期間の方が長くなるように見せかけ、

「熊本産」として出荷していたとのことです

 

これは明らかに食品表示法違反で産地偽装にあたります。

 

 

食品表示法とは

 アサリなどの海産物を含む生鮮食品の表示は、

JAS法(日本農林規格)に基づく

「生鮮食品品質表示基準」によって、一般消費者向けの

全ての生鮮食品に原産地などの表示が義務付けられています。

 

法律なので大変に難しく書かれています。

農産物や食肉まで、もれなく書かれていますが

「海産物」の場合は以下のようになっています。

 

(1)国内の港に水揚げされたもの

         漁獲された水域名又は地域名を記載する

(水域名の記載が困難なときは水揚げ港名又

は水揚げ港のある都道府県名)

 

(2)外国の港に水揚げされたものを輸入した場合

原産国名を記載する

 

例えば中国で採取されたアサリを輸入した場合は、

「中国産」と表示する。

 

輸入後に、出荷調整や砂抜きのため、

一時的に国内で蓄養した場合であっても、

その原産地は、その輸出国となることがルールです

 

 

しかし、平成22年3月に消費者庁食品表示課で発行された

食品表示に関するQ&A」では、

 

『アサリの稚貝を輸入し又は国内から移殖して繁殖させ、

成貝を漁獲する場合は、

 

輸入前又は国内の成育期間の確認については、

輸入業者や国内生産者に問い合わせ、

 

成育期間を確認する方法や、天然の場合は、

稚貝から成貝になるまでのサイズ(殻幅)ごとの

平均的な成育期間を参考として、

 

最も蓄養期間が長い産地を表示することとなります。

 

ただし、いずれの場合も、その場所での蓄養期間が

長いことを証明できる必要があります。』

 

となっています。

 

◆あさり産地偽装の背景

アサリ(浅利)といえば、

お味噌汁の具材、アサリの酒蒸し、佃煮、クラムチャウダー

パエリアなど多くの料理で使われている、

私たちの食卓に欠かせない具材です。

 

国内漁獲量は7,976トンあり、

1位の愛知県、2位の北海道、3位の福岡県の

3道県あわせて、国内漁獲量の約79%を漁獲しています

(2019年調べ)。

 

2008年の国内漁獲量は40,000トンありましたから、

この10年間で激減していることが数字からよく分かります。

 

一方、外国産アサリは主に中国及び韓国から、

令和2年(2020年)では、35,370 トン

(中国産が 25,246 トン、韓国産が 10,124 トン)輸入されています。

 

国内産の漁獲量減少を外国産で補っている構図がよくわかります。

 

国産と外国産の取引時の平均単価は、

1キロあたり、熊本県産は2018年には600円程度、

外国産は200円前後と、

約400円の差があります。

 

つまり、外国産と比べ

熊本県産のあさりは約3倍も値段が高いんです。

 

ここに、産地偽装の動機があると思います。

 

外国産を国内産と偽って販売することで

大きな利益を得ることができるのです。

 

また、日本人の中国産食品に対する根強いアレルギーがあります。

冷凍ギョーザ中毒事件や、残悠農薬の検出など、

過去に数々の問題を引き起こしてきました。

 

 

◆あさり産地偽装の影響

熊本産アサリの産地偽装の問題を受けて、

熊本産アサリの買い手がつかず返品されるなどの風評被害が出ています。

 

そして、アサリのみならず、ハマグリまで疑われて出荷量が減っています。

 

また、熊本産アサリの出荷量が減ることによって、

国内産アサリの価格が上昇しています。

 

 

◆おわりに

国産アサリは希少であり、

中国産や韓国産の輸入アサリに依存せざるを得ない現実があります。

 

今回の熊本アサリの産地偽装は明らかにルール違反です。

 

しかし、消費者の、「品質の良い国産アサリを安く買いたい」

というニーズがその行為を後押ししていることも見逃せません。

 

現実を見ると、

国内に出回っているアサリの90%が輸入ものです。

 

私たちは、外国産のアサリを

何の疑問を持たずに美味しいといって食べていたのです。

 

しかし、品質さえ守られていれば、

中国産と表示されていても

気にせずに食べてよいのではないでしょうか。

 

今回はアサリが問題になりましたが、

皆さんが大好きなサーモンも大部分はノルウェーやチリ産ですよね。

何の問題もなく、とっても美味しいです。

 

収益も大事ですが

ルールにそった販売をしてほしいですね。

 

 

 

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