ATOM Liteを使った感熱式プリンターをご存知でしょうか。
ATOM Lite は、M5Stack社が開発した小型デバイスの制御向けの開発キットで、Wi-Fi、Bletoothが搭載されたチップを内蔵しています。
ATOM Lite 単品でのお値段は、1,300円程度ととてもリーズナブルです。
そんなATOM Lite を使った応用製品「ATOM Printer - 感熱プリンタキット」が発売されました。
発売元は、ATOM Lite を開発している M5Stack 社で、日本では、スイッチサイエンス社が代理店として販売を行っています。
このプリンターは、5つの特徴を持っています。
・安い
・持ち運びに便利
・ケーブル不要
・経済的に印刷できる
・プログラム可能
この記事では、M5Stack 社から発売された「ATOM Printer - 感熱プリンキット」(以後「ATOM プリンター」と略します)の5つの特徴について説明します。
更に、ATOM プリンターのコアに使われている ATOM Lite の特徴についても説明します。
■ワイヤレスでケーブル要らず!ATOM プリンターの5つの特徴
・安い
一般的に市販されているモバイルプリンターは、1万円前後の値段が設定されています。
しかし、ATOMプリンターは8,690円と、一般的なモバイルプリンターよりややお得にお買い求め頂けます。
・持ち運びに便利
ATOMプリンターは、手のひらに載るくらい小さなサイズです。
外装は紙製のため、非常に軽くなっていて、トウモロコシ1本分くらいの重さです。
そのため、いつでもどこでも、手軽に持ち運ぶ事が出来ます。
・ケーブル不要
ATOMプリンターとスマホ間を、Wi-Fi でワイヤレスに通信する事が出来ます。
接続方式は、ホットスポット接続と、MQTTモードをサポートしています。
もちろんケーブルを接続して、有線通信も出来ます。
・経済的に印刷できる
感熱式なので、インクが不要です。
専用の感熱紙や感熱ラベルだけで印刷する事が出来るので、インクジェット方式より経済的です。
・プログラム可能
「感熱プリンタキット」の名前の通り、自分でプログラムを書いて、思い通りに印刷機能を制御する事が出来ます。
これが、ATOM プリンターの最大の特徴だと言えます。
もともと ATOM Lite は、開発キットとして販売されており、小型のセンサーや計測器向けに設計されています。
ATOMシリーズは、上位モデル「M5Stack」シリーズからバッテリーを除いた最小構成モデルとして2020年に販売開始されました。
ATOMは、LEDが25個の「ATOM Matrix」、LEDが1個の「ATOM Lite」、スマートスピーカー向け「ATOM Echo」、音声機能搭載「ATOM U」の4モデルがあります。
ATOMシリーズは、バッテリーがありませんので、外部電源が必要です。
また、モニターの替わりにLEDを搭載、必要最小限の情報しか表示出来ません。
とはいえ、CPUには「ESP32-Pico-D4」を採用、クロック240Mhzデュアルコアとパワフルで、小型デバイスであれば必要充分なスペックとなっています。
もしバッテリーやLCDモニター搭載モデルが欲しい方は、上位モデル「M5Stack」シリーズをチェック頂くことをお薦めします。
開発元の M5Stack 社は、ATOMプリンターの他に、スピーカーキットも発売しています。
こちらも興味がある方は、是非チェックしてみてください。
■ATOM プリンターを利用して印刷できるもの・できないもの、利用上の注意点
ATOMプリンターは、感熱式のため、簡素なモノクロ印刷に向いています。
文字や絵を白黒印刷したり、バーコードやQRコードなどの印刷に適しています。
使い方次第では、宅配業務で使う送り状や、レストランの伝票などにも使えます。
印刷内容をカスタマイズし、スマホやタブレットからレシートを印刷するようなシステムを簡単に作れるのもATOMプリンターの魅力の1つだと言えます。
残念ながら、カラー印刷や、緻密な画像の印刷には向いてません。
そして、感熱式プリンターには最大の弱点があります。
それは、時間が経つと、感熱紙上の印刷内容が消えてしまう事です。
感熱紙に印刷した内容は、最大で10年持つそうですが、一度消えると2度と復元できません。
そのため、消えてしまわない内に、バックアップするしか手がありません。
感熱紙のバックアップ方法には、スキャナーでスキャンする、コピー機でコピーする、スマホで写真に撮る、といった方法があります。
■まとめ
ATOM Lite を搭載したATOM プリンター と、制御モジュール ATOM Lite について説明しました。
ホビー向けの開発ボード「Raspberry Pi」が登場したのが、ちょうど10年前の2012年でした。
それから10年、機能/性能ともに格段に向上し、価格も圧倒的に安いモジュールが販売されるようになりました。
組み込みボードに興味がある方は、「Raspberry Pi」より安価で、開発者魂をくすぐる「ATOM プリンター」に挑戦してみるのも面白いかもしれません。